--僕の言いたいこと--

すぎやまこういち

<還流防止法案について>

この問題を考えるに当たってはまず現実を直視することから始めるのが良いと考えます。
中国はWTOに加盟するため、また北京オリンピックの開催国になるためにも一応、著作権制度を作ったようですが、まだまだ形だけといっても良いでしょう。
一昨年、中国からJASRACにはじめて音楽著作権料の振り込みがありました。
12億人の人口が1年間に使用したラジオ、テレビ、CD、DVD、映画その他すべての音楽著作権使用料の総額はナント80万円!でした。
欧米の音楽家の主たるマーケットは著作権制度の確立している先進諸国です。
我が国の音楽家にとって日本とアジアのマーケットを無視するわけには行きません。
アジア諸国で正式にライセンス生産されたCDであってもそのソフトは殆ど只同然ですから、非常に安い値段で出せるわけです。
これらが大量に我が国の市場に出回ったとしたら、音楽産業は勿論、我々著作者もお手上げではないでしょうか?
CDが事業として成り立つ環境を作ることを考えるべきだと思います。
自費出版でしかCDを作れない状態になったら我々プロは存在出来なくなるでしょう。
それを防ぐための防波堤がこの還流防止法案です。やや苦肉の策の一面もありますが当面これしかないと考えます。
この法案を立案し国会を通過させるまでには関係者一同大変な労力と時間を費やしました。
この法案はあくまで国内制作ソフトの還流を防ぐためのものであり、外国制作のCDの輸入を妨げるものではないことを音楽事業者が合意して覚書の形になっています。
ただこのことを法案に明記出来なかったのは、WTO自由貿易協定加盟国である我が国としては致し方なかった事情も理解する必要があるでしょう。
将来、アジア全域に著作権制度が確立しCDの値段をもっと下げても事業としてペイできる日を目指して頑張りたいと思います。

 

戻る